ウタリの友

昭和八年一月二十日 創刊号


春の若草

コタン吟(一)     故違星北斗

利用されるアイヌもあり 利用する
シャモもあるなり 共に憐れむ

実を結ぶ為めに 散り行く 花ならば
なにを惜しまん なにか悼まん

卑屈にも慣らされて居ると 哀れなる
あきらめに似た楽を持つ人々

コタン吟(二)

酒故か無智故かは 知らねども
見世物のアイヌ 連れて行かるゝ

たち悪くなれとの事が 今の世に
活きよと云ふ事に似て居る

仕方なく諦めると云ふ心
これがアイヌを亡ぼした心

正直なアイヌだましたシャモをこそ
憫な者と 思ひしるなり


※95年版『コタン』「自働道話」より