浦川太郎吉と北斗


 恐らくその東京行きのあたりから、もうその頃からつきあいがあったものかなあ。その辺がよくわからないのよ、違星北斗さんていう人。名前はっきりと思い出せなかったけどね、文通していたってことは聞いているよ。

 父さん(浦川太郎吉)が、アイヌ、アイヌって馬鹿にするけども、かなり昔から目覚めたアイヌの歌人がいたってね。たとえアイヌってさげすまれても、病気で苦しみながらでも一生懸命生きて、アイヌのためにって歌を作っている人のこといってずい分ほめていたのを覚えてる。


※『エカシとフチ』 「松田ノブ子さん 父浦川太郎吉を語る」より