「筑波登山」

自働道話 大正十四年八月 


筑波登山

 私共の登山団では、六月十四日紫の筑波山へ登りました。当日は終日雨天でしたけれども、幸に降らず、無事に面白く、目的を達しました。西川の上野着がおくれし為め、一汽車おくれ其の為帰りが後くれて御気の毒でした。

一行は今村、沼田、鈴木、岩瀬、違星、西川の六人と、愛国少年団員六人と都合十二人でした。この写真は筑波の絶頂、男体山の連歌嶽でとつたものです。岩瀬、違星の両君は既に女体山の方へ向ひし後でしたので、両君はこの写真の中へ、這入つて居りません。

筑波は登るに頃合の山ですが、ナカ/\急な山なので、割合に骨が折れます。併し山が樹木と奇岩に富んで居るのと、絶頂からは関東一円見へますので愉快です。

筑波神社のウラから絶頂まで、登山鉄道が出来るソウで、盛んに工事中でした。


※初出誌より。