社中閑話 新短歌時代 創刊号 (昭和二年十二月)



 (前略)
 稲畑笑治
 
 雑誌発行に関する可成り苦痛な「生れ出づる悩み」を体験した、ぼくも今度の新短歌時代否凡平さんの膝下には一も二もなく飛込んだ、口語歌の宣伝部員として大いに使つて頂きたい性来たい慢なぼくも今度こそは……懸命に新短歌時代の隆盛を確信し真面目な歌作生活に浸りたいと思つてる。
 純正詩社の同人として古くからぼくの憧憬して止まぬ福田義正氏が小樽に住まはれ日常親しく接してるのもうれしいことである。
 十一月三日の余市短歌会には違星北斗君と快談し、名産の林檎に舌鼓を打ちながら近頃にない雰囲気にひたつた。
 まあ、これからお互に口語歌研究のために精進してゆきたいものだ。
※新短歌時代 創刊号 (昭和二年十二月)