酒     キーワード歌集


『医文学』大正15年9月1日号

酒故か無智故かはしらねども見せ物のアイヌ連れて行かるゝ。


『小樽新聞』昭和2年10月28日

いとせめて酒に親しむ同族にこの上ともに酒のませたい


『小樽新聞』昭和2年10月28日

酔ひどれのアイヌを見れば俺ながら義憤も消えて憎しみのわく


『北海道人』昭和2年12月号

限りなき その寂寥をせめてもの

悲惨な酒に まぎらさうとする


『志づく』昭和3年4月号

限りないその寂寥をせめてもに悲惨な酒にまぎらはしものを

いとせめて酒に親しむ同族にこの上とても酒呑ませたい

現実の苦と引き替へに魂を削るたからに似ても酒は悪魔だ!

酒故か無智故かはしらないが見世物のアイヌ連れて行かれた

のむ? ことが何よりのたのしみで北海道がよいと云ふシャモ


『新短歌時代』昭和3年7月号

酒のめばシャモもアイヌも同じだテ愛奴のメノコ嗤ってゐます


『コタン』昭和5年5月

あゝアイヌはやっぱり恥しい民族だ 酒にうつつをぬかす其の態

泥酔のアイヌを見れば我ながら 義憤も消えて憎しみの湧く

酒故か無知な為かは知らねども 見せ物として出されるアイヌ

山中のどんな淋しいコタンにも 酒の空瓶たんと見出した