心の日記


 遺骸

 死せる魚は

 水に従って流れる

 時代の激流に溺るゝ

 若き男女の遺骸

 何ぞ斯く多きや

 自己の道

 乃木大将も

 楠正成も

 自ら忠烈とは感じなかった。

  ○

 瓜生岩子も

 ナイチンゲールも

 自ら慈善とは感じなかった。

  ○

 誰に奉仕するのでもない

 為ないでは居られない

 自らの道を自ら行く。

  ○

 慈善、奉仕、犠牲、忠烈

 当人には

 実に意外の言葉であった。


※95年版『コタン』より

※これは北斗の作品とされているようだが、北斗の作品ではなく後藤静香の「遺骸」「自己の道」という作品である。