「北海道巡講記」  西川光次郎

自働道話 昭和二年八月 一六〇号


(前略)

△六月十三日(曇、時々雨) 午前中斉藤君に案内して頂いて市中(編注、函館)を見物し、午前〇時四十五分の汽車にて余市に向う。斉藤君見送らる。午後七時五十分余市着。奈良老先生、違星、菅原の両君と共に出迎へられ、奈良先生お宅に厄介となる。違星君は意外にも早く全快して、元のまゝの違星君で、うれしかった。

△十四日(晴)午前十一時より大川小学校にて講話、午後〇時半より余市実科女学校にて講話、午後六時半の汽車にて小樽に向ふ。奈良先生違星君と共に、御見送り下さった。午後八時小樽着、高木真明翁令孫をつれられ、黒崎好裕氏と共にお迎へして下さった。翁のお宅に厄介となる。
 奈良先生は明治十六年より今日まで、小学校の先生を勤続さるゝの人。高木翁は四十年間書道の先生として一貫し来りし人。
(後略)


※95年版『コタン』「くさのかぜ」より