「茶話誌」  西川光次郎

自働道話 大正十四年二月 一三〇号


「茶話誌」

北海道の余市町に、アイヌ青年の一団あり、この団体では、
 第一に、貯蓄心の乏しきは我等同族間の旧弊であるとて、勤倹を奨励し、
 第二に、衛生思想の乏しきは、我等同族間の弱点であるとて、衛生思想を宣伝し、
 第三に、第一と第二の理由から酒の排斥に努力して居る。茶話誌は此の団体の謄写版づり機関雑誌である。この団体の顧問奈良翁と、茶話誌の編輯人違星北斗氏とは、私の知人である。
私はコウした団体の起ったことを、アイヌ族の為めに、又日本の為めに、よろこばしいことであると思ふ。諸君の健闘を祈る。
 因に誌す、奈良直弥翁は、北海道にありて教育に就事すること四〇年、中十三年間は専らアイヌ教育に当たられし方である。


※95年版『コタン』「くさのかぜ」より